国年眼科クリニック
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Contents



  緑内障

  白内障

 ■ 結膜炎

 ■ 飛蚊症

 ■ 目薬の使い方


◆ 緑内障 ◆
**目次
病態
緑内障ってなんですか?
眼圧とは?
房水とは?
緑内障には種類があるのですか?
正常眼圧緑内障はどんな病気ですか?
症状
緑内障の自覚症状は?
原因
緑内障の原因は?
治療
緑内障の治療法は?
自分の受けている緑内障治療は最善なのか?
点眼薬
点眼薬が目にしみてもよいのですか?
点眼薬の種類や点眼回数が多い方がよく下がりますか?
点眼薬をたくさん使用していますが眼圧が下がりません。どうしたらよいですか?
内服薬
内服薬
レーザー
レーザー線維柱帯形成術
レーザー隅角形成術(laser gonioplasty)
レーザー虹彩切開術(laser iridotomy)
手術
緑内障の手術(レーザー)にはどのようなものがありますか?
手術は怖くはありませんか?
緑内障の手術は一回で済みますか?
線維柱帯切除術(trabeculectomy)
非穿孔性線維柱帯切除術(non-penetrating trabeculectomy)
線維柱帯切開術(trabeculotomy)
隅角癒着解離術(goniosynechialysis)
周辺虹彩切除術(peripheral iridectomy)
手術時間はどのくらいですか?
手術後の注意点は?
手術の合併症とは?
知人は手術をしました。私も手術が必要でしょうか?
手術を勧められていますが不安です。どうしたらよいでしょうか?
緑内障の手術をしたのに再び眼圧が上がってきました。手術が失敗したのでしょうか?
術後に眼圧が下がり成功したとのことですが、とても見えづらくなってしまいました。本当に成功したのでしょうか?またこの見えづらさは治らないのでしょうか?
予後
緑内障は治らないのですか?
緑内障の手術をすれば治りますか?
緑内障の治療をしているのに悪化することはありますか?
緑内障になると失明するのですか?
予防
身内に緑内障患者がいます。目の検診が必要でしょうか?
検診で眼圧が高いといわれました。緑内障でしょうか?
高眼圧症といわれています。緑内障とはちがうのですか?





◆病態◆
●緑内障ってなんですか?

視神経が萎縮して視野が狭くなったり視力が低下する病気の一つです。目の張り具合、硬さを示すいわゆる眼圧が高いことが原因である場合と、眼圧以外のことが原因である場合があります。

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●眼圧とは?

眼球というボールの圧力、つまり目の硬さ、張りを眼圧と呼びます。数字の上だけでの正常範囲は10〜21mmHgといわれています。しかし、上限を21mmHgとするのはおよその目安であるにすぎず大きな意味はありません。21mmHgを超えても緑内障が無い場合もあれば、21mmHg未満であるにもかかわらず緑内障のある場合もある(これが正常眼圧緑内障)からです。
眼球が球状の形態を保つためには適度な眼圧が必要です。しかし、眼圧が高くなりすぎると視神経への圧迫による障害、血管への圧迫による血流障害が起こり緑内障を起こしやすくなります。

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●房水とは?

房水とは目の中の水のことです。涙とは関係ありません。目の中には水が湧き出るところがあります(毛様体)。そこから目の表に向かって旅をし、茶目(虹彩)とレンズ(水晶体)の間をくぐりぬけ、黒目(角膜)と茶目(虹彩)が作る片隅(隅角)からフィルターを通って血管へ流れていきます。どこかの途中で水がスムーズに流れないと交通渋滞が起こって目の中の水が増加し、目が張って硬くなり(眼圧が高い状態)、緑内障になります。

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●緑内障には種類があるのですか?

一口に緑内障といっても実はたくさんの種類があります。原因別に考えると、1)生まれつきのものである先天緑内障や発達緑内障、2)原因が不明の原発緑内障、3)他の疾患が原因となっている続発緑内障の3種類に大きく分けられます。また、目の中の構造別に考えると、1)開放隅角緑内障、2)閉塞隅角緑内障の2つに大別されます。閉塞隅角緑内障は発症の仕方により急性と慢性に分けられます。日本で最も多いタイプは、開放隅角緑内障であり、眼圧が21mmHgを超える原発開放隅角緑内障よりは、超えないいわゆる正常眼圧緑内障が非常に多くなっています。ただし、21mmHgで区切ることにはあまり重要な意味はなく、眼圧が低い緑内障ほど眼圧以外の要素が原因となっていることが多いとお考え下さい。

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●正常眼圧緑内障はどんな病気ですか?
以前は眼圧が高いために視神経が圧迫されて萎縮し、視野の異常をきたすと考えられていました。しかし最近は、眼圧が高くなく正常範囲であるにもかかわらず視神経が萎縮する、いわゆる正常眼圧緑内障が日本人には特に多いことがわかってきました。ですから検診では眼圧だけではなく視神経を直接観察する眼底検査が必須となります。最近40歳以上の方は眼科受診をと啓蒙活動が盛んですが、40歳以下でも正常眼圧緑内障はありますので、一度は眼科受診をしておくべきでしょう。
◆症状◆
●緑内障の自覚症状は?
視野が狭い、視力が低下する、目が重い、目が痛い、目がかすむ等さまざまな自覚症状があります。しかしほとんどの場合は、初期の頃は自覚症状がありません。かなり進行してから視野異常や視力低下を自覚します。ただし、急激に眼圧が高くなる緑内障の場合は、かすみ目、眼痛、頭痛、吐き気、嘔吐などを起こすこともあります。
◆原因◆
●緑内障の原因は?
生まれつきのものである先天緑内障や発達緑内障の原因は、目の中の隅角という部分が未熟であるための高眼圧です。原因がはっきりしない原発緑内障の場合は、視神経が異常に弱いために視神経の老化現象が異常に早く進んで萎縮してしまうものです。眼圧はさまざまで、一般的な正常範囲といわれている10から21mmHgの範囲内の場合もそれを超える場合もあります。緑内障の進み方は、視神経の弱さと眼圧の高さの両者が関係してきます。視神経の萎縮についてはいろいろな原因説がありますが、まだ結論はでていません。遺伝子の異常、解剖的な異常、血流の異常、眼圧による圧迫、萎縮が萎縮を呼ぶ二次性萎縮などが指摘されています。
◆治療◆
●緑内障の治療法は?

原因にはさまざまなものがありますが、緑内障そのものに対する直接の治療法には眼圧を下げることしかありません(他に視神経の血流改善薬やビタミン剤の投与を行うこともありますが効果は不明です)。他の眼疾患が原因となっている続発緑内障の場合は、その原因疾患の治療が必要です。眼圧を下げることが治療であるわけですから、もともとの眼圧が低い場合は更に眼圧を下げることができませんので治療効果が得られにくくなります。眼圧を下げる手段には、点眼薬、内服薬、レーザー、手術があります。しかし、緑内障の種類によってとりうる選択肢が限られてきます。

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●自分の受けている緑内障治療は最善なのか?
医師の間でも緑内障治療の考え方にばらつきがあることも少なくありません。大切なことは、医師との信頼関係ができているか、納得する説明があるか、自ら緑内障を勉強し自分の病気の状態を理解しているかということです。セカンドオピニオン、サードオピニオンといって他の医師を受診して意見を聞いてみることも一つの方法です。ただし、緑内障の専門医でないといけません。やはり最終的には自分が納得できる治療を受けることに尽きます。そして医師には、患者さんを納得させるだけの医療水準と信頼関係を作ることが要求されます。
◆点眼薬◆
●点眼薬が目にしみてもよいのですか?

緑内障の点眼薬にはしみるものがあります。また体調によってもしみ方が違います。点眼薬の副作用で目の問題を起こしていることもありますので、不調な時は医師に相談すべきでしょう。副作用などの問題がなければ、しみることは我慢をして点眼を続けてください。

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●点眼薬の種類や点眼回数が多い方が眼圧がよく下がりますか?
そうとは限りません。点眼薬の種類を増やせば必ず眼圧がよく下がるとは限りません。1種類でも十分に眼圧が下がることもあれば3種類でも不十分なことがあります。また点眼回数は指定された回数を守ることが重要です。回数を増やしても効果がかわらないどころか場合によってはかえって効果が減ったり、副作用が発生しやすくなります。医師の指示通りに点眼することが大切です。
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●点眼薬をたくさん使用していますが眼圧が下がりません。どうしたらよいですか?
どの程度の眼圧にする必要があるか、つまり目標眼圧の設定は個々の患者さんによって異なります。点眼だけで目標が達成できないときは、手術など別な方法を検討する必要があります。一時的な眼圧上昇の場合は、内服や点滴で対処することもあります。また点眼薬と内服薬で長期経過をみることもありますが、特殊な場合と考えた方がよいでしょう。多くの場合は点眼薬のみで目標眼圧を達成できない時には手術などが必要です。医師に相談をして下さい。
◆内服薬◆
眼圧を下げる飲み薬です。点眼薬だけでは十分に眼圧を下げることができない時に使用します。特殊なケースを除くと、基本的には一時的に使用する薬です。点眼薬による治療が不十分な場合で、かつ長期間にわたり内服薬が必要となる場合は基本的に手術を考慮します。手術に踏み切れない諸事情がある場合には内服薬を継続することもあります。副作用には、胃腸障害・尿路結石・指先のしびれ・低カリウム血症・肝腎障害などがあり注意を要する薬です。患者さんの状態によっては使用不可能なこともあります。
◆レーザー◆
●レーザー線維柱帯形成術(laser trabeculoplasty)
房水の通り道にあるフィルターの目詰まりを治すレーザーです。フィルターにレーザー光線を当てて組織を変化させて目詰まりを改善します。
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●レーザー隅角形成術(laser gonioplasty)
房水の通り道が虹彩で塞がっている時にこれを再開通させるレーザーです。隅角癒着解離術という手術後の仕上げや、虹彩の形が特殊な場合に行うことがあります。
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●レーザー虹彩切開術(laser iridotomy)
房水が水晶体と虹彩との間を通過出来ない時に虹彩に迂回路を作るレーザーです。昔は手術でしたが、現在は簡単なレーザーで済むため便利になりました。しかし、角膜に対するストレスがあるため、角膜が弱っている患者さんの場合は特に注意が必要です。レーザーが困難な場合は周辺虹彩切除術という手術をかわりに行います。
 
◆手術◆
●緑内障の手術(レーザー)にはどのようなものがありますか?
1)目の中の水(房水)を目の外に漏らす濾過手術である維柱帯切除術や非穿孔性維柱帯切除術。
2)房水の通り道にあるフィルターの目詰まりを治す維柱帯切開術やレーザー維柱帯形成術。
3)房水の通り道が虹彩(茶目)で塞がっている時にこれを再開通させる隅角癒着解離術やレーザー隅角形成術。
4)房水が水晶体と虹彩の間を通過出来ない時に虹彩に迂回路を作る虹彩切除術やレーザー虹彩切開術。これらが緑内障の主な手術です。他にも手術の細かい分類がありますが特殊ですので省略します。
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●手術は怖くはありませんか?
世界中のどんな手術も100%安全というものはありません。やはり手術にまつわる危険は伴います。しかし、危険を恐れて手術をせずに緑内障が悪化するのも怖いことです。どちらが怖いかをよく考えて手術を行います。手術にはいくつかの種類があり、それぞれ手術の効果や危険性が違います。手術のメリットとデメリットを考慮の上で、患者さん一人一人にあった手術法を選択します。
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●緑内障の手術は一回で済みますか?
一回の手術で済む場合と複数回必要になる場合とがあります。緑内障の種類、手術の合併症、手術の効果の持続性により異なります。たとえ手術が複数回になったとしても、粘り強く緑内障と戦うことが大切です。
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維柱帯切除術(trabeculectomy)
房水(眼球の中の水)を眼球の外に漏らす濾過手術です。しかし、手術による合併症も最も多く、また最も重篤なものが含まれています。緑内障がかなり進行していて眼圧をできるだけ低くする必要があるときや、他の手術法では眼圧がよく下がらない場合に行います。手術直後から場合によっては数ヶ月間は、視力低下を起こすことがあります。また長期間にわたって眼球の感染症の危険性が残ります。
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●非穿孔性維柱帯切除術(non-penetrating trabeculectomy)
房水を眼球の外に漏らす濾過手術です。眼圧下降効果は維柱帯切除術と同等かやや少ない程度ですが、手術後の合併症の頻度は低くなっています。手術直後から場合によっては数ヶ月間は、視力低下を起こすことがあります。また長期間にわたって眼球の感染症の危険性が残ります。
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維柱帯切開術(trabeculotomy)
房水の通り道にあるフィルターの目詰まりを治す手術です。フィルターを金属の細い棒で切開するものです。眼圧下降効果は、維柱帯切除術に比べれば低いものの安全性が高いので、初期の緑内障や、中等度の緑内障で術後視機能低下をできるだけ避けたい場合に行います。術後1週間程度は血液の逆流のためにみえずらくなります。
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●隅角癒着解離術(goniosynechialysis)
房水の通り道が虹彩(茶目)で塞がっている時にこれを再開通させる手術です。癒着している虹彩を剥がします。
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●周辺虹彩切除術(peripheral iridectomy)
房水が水晶体と虹彩の間を通過出来ない時に虹彩に迂回路を作る手術です。最近はレーザーが主流となりこの手術を行うことは非常に少なくなりました。しかし急性緑内障発作後にはレーザーが困難な場合があり、この場合にはこの手術を行うことがありますので重要です。また、角膜が弱っている患者さんの場合にも行うことがあります。
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●手術時間はどのくらいですか?
手術の種類によりますが、20分から1時間くらいと考えてください。
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●手術後の注意点は?
手術した目が不潔にならないようにすることと、目をこすったりぶつけたりしないように注意して下さい。また急に見えなくなったり、充血したり、めやにが増えた時にはすぐに受診をして下さい。手術の種類によって注意事項が多少変わります。個別指導に従って下さい。
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●手術の合併症とは?
手術の種類によって起きる可能性のある合併症は異なります。術後の眼圧が下がりすぎたり、上がりすぎたりして視力に影響することもあります。また、感染症を起こすことがあり厳重な注意が必要です。いずれにせよ、手術を承諾される時は、現在の病状、手術の必要性、手術の内容、手術の危険性、手術後の危険性について医師から十分な説明を受け、納得された上で手術を受けることが重要です。また合併症が起きた場合は、いかに適切に対処することができるかということが鍵となります。
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●知人は手術をしました。私も手術が必要でしょうか?
患者さんによっては薬による治療だけでは不十分なことがあります。その場合に手術をすることがあります。患者さんによって緑内障の種類、治療状況などが異なりますので、他の緑内障患者さんの話しを自分に当てはめ過ぎないように注意して下さい。手術をしなくて済めばその方がもちろんいいのです。
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●手術を勧められていますが不安です。どうしたらよいでしょうか?
手術をしないでいると緑内障が将来どうなるのか、手術をした場合は緑内障は将来どうなるのかということを検討した上で手術の適応を決定します。手術の必要性、危険性などの説明を医師から十分に受け、納得した上で手術を受けて下さい。
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●緑内障の手術をしたのに再び眼圧が上がってきました。手術が失敗したのでしょうか?

手術直後に眼圧が一時的に上がることがあります。これについては適切に対処をすれば治ります。また、手術後しばらくは順調に下がっていた眼圧が数年後に徐々に上がってくることがあります。これは手術そのものの限界と関係してきます。薬などで対処しますが、不十分な時は再手術を行うこともあります。
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●術後に眼圧が下がり成功したとのことですが、とても見えづらくなってしまいました。本当に成功したのでしょうか?またこの見えづらさは治らないのでしょうか?
手術後に一旦は見えていたのにある日から急に見えずらいという時は何らかの病気が発生している可能性がありますのですぐに受診をして下さい。手術後からずっと見えずらい場合について話しますと、まず手術そのものによる視力低下は一定の頻度で発生することがわかっています。この発生率は手術の種類によって違います。また、患者さん側の要因としては、手術前の視野異常や視力低下の強い患者さんの方が、手術後に視力低下を起こす頻度が高くなります。視力低下の原因が治療可能であれば治療しますが、治療対象とならない場合はそのまま様子をみていくしかありません。手術後1ヶ月から半年位の間に徐々に治ってくることが比較的多いですが、治らずにそのままということもあります。手術を受ける前に視力低下などの危険性の説明をよく受けて下さい。
◆予後◆
●緑内障は治らないのですか?
緑内障によって一度失われた視野や視力は残念ながら元には戻りません。治療は緑内障を停止もしくは進行を遅らせることが目的となります。ですから早期発見、早期治療がより重要となってきます。最近は緑内障について盛んに啓蒙活動がされています。40歳以上でなくとも一度は眼科で検診を受けておくべきでしょう。若年者でも緑内障は少なくありません。また将来緑内障になる可能性が高いかどうかを知っておくことも重要です。
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●緑内障の手術をすれば治りますか?
緑内障の治療である眼圧下降が不十分な場合に手術を行います。点眼薬で眼圧下降が十分に得られていれば手術は不要です。手術は魔法ではありません。手術をすれば視野、視力が元に戻るというわけではありません。将来の更なる悪化をできるだけ抑えるために手術をします。
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●緑内障の治療をしているのに悪化することはありますか?
あります。現在の医療水準では緑内障を完全に停止させることは不可能です(一部の種類の緑内障を除く)。治療によって緑内障の進行をどれだけ遅らせることができるかということです。一番大事なことは現在受けている治療内容が最善かどうかということです。最善であるならば、緑内障の悪化は、現在の医療の限界と考えて治療を続けて下さい。しかし、治療が最善であるかどうかを患者さん側が判断するのは非常に難しいのが現状です。
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●緑内障になると失明するのですか?
この質問は、風邪をひいたら肺炎になって死亡しますか?という質問に似ています。風邪から肺炎になって死亡することはありますが、それはごく一部の患者さんに過ぎません。最近のマスコミは盛んに緑内障の啓蒙活動を行い、緑内障の怖さと眼科受診の必要性について宣伝をしています。もちろんそれは正しいですし、よいことなのですが、恐怖ばかり感じている方が急増しています。緑内障の診断を受けたとたんに失明の悩みをもつというのは誤りです。もちろん緑内障の発見された時の目の状態にもよりますが、自覚症状が特に無く、眼科で初めて緑内障の診断を受けた方がその後適切な治療を受けていれば、将来完全失明するということは頻度としては非常に低いです。ただし、適切な治療を受けるということが重要です。不適切な治療を続けたり、一度も眼科を受診せずにやっと発見された時にはもうかなり進行していたという場合は、たとえその後適切な治療をしたとしても失明を防ぐことがかなり難しくなってきます。これが緑内障は早期発見、早期治療をといわれる理由です。
◆予防◆
●身内に緑内障患者がいます。目の健診が必要でしょうか?
必要です。緑内障は遺伝的要素をもつ病気です。身内に緑内障患者がいる場合は、御自身が緑内障になる確率は一般の発症率よりも高くなります。年齢を問わず一度は眼科を受診して下さい。
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●検診で眼圧が高いといわれました。緑内障でしょうか?
眼圧が高いだけでは緑内障とはいえません。眼底検査、隅角検査、視野検査など他の検査と総合して診断しますので、眼科での精密検査が必要です。また検診で多く使用されている眼圧測定機器は誤差のでる場合が時々ありますので、眼科で眼圧を正確に検査する必要があります。
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●高眼圧症といわれています。緑内障とはちがうのですか?
眼圧が正常範囲の目安である21mmHgよりも高いものの、視神経の萎縮がみられない場合で、かつ目の中の炎症性疾患がなく隅角が広く開放している場合に高眼圧症とよぶことがあります。眼圧が高くても一生涯、視神経が健康であれば問題はありません。ただし、高眼圧症と診断を受けている患者さんの中には緑内障のごく初期である患者さんも3〜4割含まれているため、緑内障予備群と呼ぶこともできます。ですから経過観察は必ず必要です。経過観察中に視神経や視野の緑内障性変化を認めた場合は緑内障と診断し、治療が開始されます。高眼圧症であっても家族に緑内障患者がいる場合で本人にも緑内障の可能性が高いと考えられる場合は、点眼治療を早期から行うこともあります。

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◆白内障(日帰り手術) ◆

白内障とは、
目はカメラと構造がよく似ています。カメラと同じように人間の目にも光を集める役割をするレンズ、すなわち水晶体があります。
本来、透明であるはずの水晶体が濁っている状態を白内障と呼んでいます。
濁ったレンズは光を通しにくいので見づらさの原因となります。
◆白内障の症状◆
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ぼやける、かすむ、ものがだぶって見える、うっとうしい、まぶしさを感じやすい、近視が増えてメガネが合わなくなる、ものが黄色味がかかってみえるなどがあります。
白内障と一口に言っても、水晶体の濁りの量や分布によって症状はさまざまです。
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◆白内障の原因◆
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加齢が最も多く、新陳代謝の低下や紫外線などが原因と考えられています。
個人差も大きく、同じ年齢でも白内障が少ない人もいれば多い人もいますし、白内障が進む早さも人によってまちまちです。
白髪と同じで体質や生活習慣が関係していると考えられます。  

加齢以外の原因としては、、糖尿病、アトピー性皮膚炎、目のけがや炎症、薬の副作用、生まれつきなど、さまざまなものがあります。  

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白内障の予防と治療
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残念ながら完璧な予防法は現在のところありません。
目薬もありますが進行を止める効果はなく、進行を遅らせるかどうかという程度です。
ですから目薬をしていても白内障は進行します。
白内障が進行し、生活に支障をきたすようになれば手術をする以外に治す方法はありません。
白内障の手術時期
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白内障の自覚症状が生活に支障をきたす、または支障をきたさなくても不快で辛いという場合は手術をしてもよい時期です。
手術をしてもよいということであり、決してしなければならないというわけではありません。
しかし、そのまま放置しても症状がよくなることはなく、むしろ徐々に悪化していきますのでいつかは手術を決心せざるを得なくなる場合がほとんどです。  
誰でも手術を受けることは怖いですから、できることなら手術はしたくないでしょう。
しかし、手術をしてもっとよく見えるようになりたいという希望もあります。
もっとよく見えるようになりたいという気持ちが、怖いから手術をしたくないという気持ちに打ち勝った時に手術の決心をすればよいのです。  
ただし例外として、患者さんの御希望がなくても手術を強くお勧めせざるを得ない場合があります。それは、

1)眼底の病気の疑いがある、あるいは今後発症する危険性が高いにもかかわらず、白内障のために眼底検査が十分にできない場合

2)眼底の病気に対するレーザーや手術が必要であるが、白内障のために困難である場合

3)緑内障の治療のために白内障の手術が必要である場合などです。

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◆手術の実際◆
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麻酔は点眼薬による局所麻酔ですので、全身への副作用の心配はありません。
以前は麻酔の痛い注射が必要でしたが、現在は注射をせずに点眼薬による麻酔だけで手術が可能となっています。
まばたきは自由ですので心配しないで下さい。
どなたでも手術を受けることができます(あらかじめ内科の先生からの手術許可は必要です)。  
まず水晶体を包んでいる
透明な袋に窓を開けます
3mmほどの小さな切開創から超音波ミニ掃除機を挿入し、濁った水晶体を吸い取ります
吸い取りが完了すると、水晶体を包んでいた透明な袋だけが残りますので、この袋の中に眼内レンズを挿入して手術は終了です
切開した傷は自動的に閉じますので、糸で縫う必要はありません
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この手術を超音波水晶体乳化吸引術と呼び、現在の白内障手術の主流です。手術時間は通常10分以内です。
◆手術後の視機能◆
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手術後もメガネが必要です。どんな時にメガネが必要なのかは患者さんによって違います。いずれにせよ大抵の場合は、手術前に使用していたメガネが合わなくなることが多く、新しく作るまでは見え方がぼやけることがあります。手術後しばらくはピントが不安定ですので、これが安定するまではメガネの作り換えはお待ちいただきます。2、3週から1ヶ月程度で安定することが多いようです。 生活や業務上で支障のある場合は術後すぐにメガネ処方をすることは可能ですが、この場合はしばらくしてからメガネが合わなくなる可能性があることを前もって御了解いただきます。
手術をしても老眼は治りません。つまりピントの調節機能はほとんどありません。老眼ではない若年者もしくは軽い老眼である中年者の場合は、手術後にはかなりの老眼になってしまうことを特に御留意下さい。
基本的には手術前にあった乱視は治らずにそのまま残ります。
手術後はものが青白くみえることがあります。これは眼内レンズのもつ特性であり異常ではありません。白内障が強かった方に多いようです。特に片目のみの手術の場合には、色調の左右差を感じやすくなりますが、次第に慣れてくることが多いようです。
手術後は夜間の光が直線状に走って眩しくなったり、わっかのようなものが見えることがあります。これも眼内レンズの特性であり異常ではありません。次第に慣れてきます。
白内障以外の病気がある場合は、白内障手術をしても十分に視力が改善しないことがあります。このような患者様には手術前にその旨の説明があります。
白内障の手術は一生に1度だけです。手術した目に2度目の白内障手術は通常ありません。目の中に入れた眼内レンズは一生もちます。

◆手術後のピント◆

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白内障手術は文字通り白内障の治療であると同時に近視や遠視の矯正手術の特徴も兼ね備えています。
例えば強度近視で不便だったので手術後は近視を少なくする、あるいは近視をなくすといったことが可能です。
そして手術後にはこのくらいの近視になるようにという目標を立てて挿入する眼内レンズの度数を決めます。 
術前検査として角膜の形と眼球の大きさを測定し、この2つのデータを方程式に代入して眼内レンズの度数を求めます。  
手術後のピントの状態には何通りかの種類があります。以下のいずれかの御希望をお聞かせ下さい。難しくてよくわからない場合は、院長に御相談下さい。
1)メガネなしで遠くがよく見えて、メガネをかけると近くがよく見える
2)メガネなしで近くがよく見えて、メガネをかけると遠くがよく見える
3)日常生活で最もよく使う中間距離をメガネなしで見る。遠くと近くは少しぼやけるが、メガネをかければよく見える。
4)1眼は遠くがよく見え、他眼は近くがよく見える。  
ちなみに、メガネなしで遠くも近くもはっきりと見えるようにすることは、特殊な眼内レンズ(遠近両用眼内レンズ:日常生活で最もよく使う中間距離が見えにくいことと、コントラストの不良という欠点があるため現在はほとんど使用されていません)を使用しない限り不可能です。
しかし、どうしてもメガネをかけたくないとおっしゃる方には、遠くも近くも50点くらいにそこそこ見える(3)を選択するという方法もあります。  
また、片目ずつピントを変えて、遠くと近くを片目づつで見る単眼視(4)は、遠近感や立体感がわかりにくくなったり、目が疲れやすくなるなどの欠点があります。
したがって、手術前からピントの左右差があり、かつ強い御希望のある場合にのみ(4)を選択します。  
遠視は遠くも近くもぼやけるので、不便なピントの状態といえます。そこで白内障手術後には基本的に遠視は治します。通常は(1)を選択します。強い御希望があれば(2)を選択することも可能です。
強度近視は遠くも近くもぼやけるので、不便なピントの状態といえます。
そこで白内障手術により基本的に強度近視は治します。通常は(2)を選択します。強い御希望があれば(1)を選択することも可能です。  
術後のピントの状態をどのようにするか、どのような時にどのような場所でメガネをかけるのかを考え、医師と十分に御相談下さい。  
-

◆手術後について◆

-
手術後の生活については個別指導があります。
手術後の診察は、手術後の3日間は毎日行います。
その後は症状に応じて受診間隔を延ばしていきます。
手術後は1ヶ月以上の点眼治療が必要です。
紹介医がある場合は、術後2週以降の診察は、紹介医で行います。  

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■ 結膜炎

結膜炎は眼科ではよくみられる病気です。

放置していても自然に治るような軽い結膜炎もあれば、学校や仕事を休まなければならない結膜炎、また視力低下などの後遺症を残す結膜炎もあり、油断をしてはいけません。

特に乳幼児の場合は抵抗力が弱く、角膜炎から眼内の感染症に至って失明することもありますので必ず受診をして下さい。

**目次
原因
症状
治療
予後
予防

 

原因

結膜炎の原因にはさまざまなものがあります。
大きく分けると、

感染性(はやり目と呼ばれるウイルス性や、微生物によるものなど他人に移るもの)
アレルギー性(花粉症、アトピー、コンタクトレンズによるものなど)
■外傷性(けがやごみ、薬品など)

などに分類できます。

 

症状

結膜が充血しているから結膜炎とは限りませんが、充血があれば結膜炎の可能性があります。

症状は多彩であり、例えば、めやに、流涙感、痛み、異物感、違和感、かゆみ、まぶたの腫れや赤み、目が開きづらい、かすみ目、コンタクトレンズが急に汚れる・曇る・ずれ上がるなどがあります。

時に、自覚症状に乏しく、検査時にたまたま診断されることもあります。

 

治療

点眼治療が基本です。その他に眼軟膏や内服薬を処方することもあります。

治療期間は原因によって異なります。
また結膜炎の程度によっても異なります。

医師の指示にしたがって治療を続け、自己判断で治療を中断しないようにして下さい。

結膜炎の種類によっては、中途半端に治療を中断するとすぐに悪化したり、あるいはなかなか完治しないものもあるからです。

また、結膜炎以外に角膜炎や眼内の炎症を併発する結膜炎もありますので注意が必要です。
またコンタクトレンズ装用者の場合は、装用中止となることがほとんどです。

他人に移る危険性のある感染性結膜炎の場合は、いかに他人に移さないようにするかが重要です。
場合によっては学校や仕事を休まざるを得ないこともあります。

 

予後

完治する場合がほとんどです。

アレルギー性の場合は一旦は症状がおちついてもアレルギー体質そのものは変わりませんので再発することは十分に考えられます。

結膜炎が強い場合には結膜に瘢痕を残すことがありますが、そのような結膜炎の発症頻度は非常に低いです。

角膜炎を併発する結膜炎の場合には角膜に軽い混濁を残すことがありますが、視力に影響を及ぼすことは稀です。

微生物が原因の場合は感染源を突き止め、その感染源に対する対処が必要です。

 

予防

何よりも目を触らないことです。
どうしても触る必要がある時はよく手を洗って下さい。
身近に感染性結膜炎の患者がいる場合には特に注意が必要です。

また、風邪をひいている時は、咳、鼻水、くしゃみをした時に手にウイルスが付着することがあります。
その手を洗わずに目をこすったりするとウイルス性結膜炎になることがありますので注意が必要です。

コンタクトレンズ装用者は正しい装用と定期検診が大切です。
もしも目に異常を感じたらすぐにコンタクトレンズを中止して受診をして下さい。

■飛蚊症(ひぶんしょう)

視界に黒いものが見えることを飛蚊症と呼びます。

まるで蚊が飛んでいるようなのでこのような名前がつけられています。

実際には、黒いものの形は蚊に限らず、糸くずであったり、髪の毛であったりとさまざまです。

生理現象や老化現象であることがほとんどですが、網膜剥離などの怖い病気の可能性もあり、精密検査が絶対に必要です。

**目次
原因
検査
治療

 

原因

眼球の中に濁りがでてくると眼底に映る映像に影が出来ます。
これが飛蚊症です。

生理的な濁りがたまたま眼底近くにあると影を作りやすくなります。
明るい所で白っぽい背景の時に目立ちます。
ちょうど晴れの日の方が曇りの日よりも人影がはっきりすることと同じです。

濁りの原因は、単なる生理現象や老化現象である場合と、病気の場合があります。

病気としては、例えば網膜剥離や網膜剥離の原因ともなりうる網膜の穴が開いていたり、眼内出血や眼内の炎症などが挙げられます。

濁りの形はさまざまですので、飛蚊症としての見え方も個人差があります。
文字通り、蚊のようであったり、糸くずや髪の毛、煙などさまざまです。

一日中見えているとは限らず、たまに見えるということもあります。

 

検査

散瞳剤を使用して瞳を大きく開けた状態での眼底検査により、眼底を隅々までチェックします。

検査終了後4〜5時間は散瞳剤の影響でまぶしくてぼやけた状態になり、車の運転や仕事ができなくなりますのでご注意下さい。

混雑の具合にもよりますが、検査時間はおよそ1時間です。

 

治療

治療すべき病気がみつかればその治療を行います。

治療すべき病気が無ければ生理現象や老化現象ということで経過観察のみとなります。

病気ではないので治す薬もなければ手術もありません。

そのうち自然と治ることもあります。
定期的な検査が必要かどうかは医師からの指示に従って下さい。

今後、突然飛蚊症が悪化した場合には、必ずただちに眼科を受診して下さい。
なぜなら途中から網膜剥離などの病気が発生することもあるからです。

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■ 目薬の使い方
内服薬と同様に、点眼薬や眼軟膏も、その使い方によっては効果が上がらないものばかりか、かえって悪影響を及ぼすこともあります。
薬がきちんと作用するように、また副作用を予防するために、点眼薬と眼軟膏を使う際は、次の点を心がけてください。
**目次
回数・時間
用量を守る
清潔に保つ
保管の仕方

 

 

回数・時間


 回数・時間をまもりましょう 

 1日の使用回数を守り、一定の時間につけることが大切です。

 同じ薬でも、症状によって使用回数が変わることもあるので、医師の指示に従ってください。

 また、一度に複数の点眼薬を使用するときは、必ず5分間以上あけてからさしましょう。

 一度にさすと、それぞれの薬が薄まってしまい、効果が十分に出なくなってしまうからです。

 

 

用量


 用量を守りましょう。

 薬はたくさん使えば、それだけ効果が高くなるというものではありません。

 点眼薬であれば、1回に1滴で十分です。

 それ以上さすと、薬が目頭にある涙点から鼻涙管を通って鼻へと流れていくので、薬の作用が全身に回って副作用が起こりやすくなります。

 鼻へと流れていくのを防ぐために、点眼後に目頭を指で押さえるとよいでしょう。

 

清潔に


 薬を清潔に保ちましょう。

 点眼薬にも眼軟膏にも防腐剤が入っていますが、それでも細菌が繁殖することがあります。

 そのような薬をつけたら、わざわざ目に細菌を入れているようなものです。

 薬を使うときは、まずよく手を洗い、清潔な指で下まぶたを下に引っぱって、容器の先がまつげやまぶた、眼球に触れないように注意しながらつけます。

 

保管の仕方


 一般的に、目薬や軟膏は直射日光や高温を嫌います。

 しかし、すべて冷蔵庫に入れておけばよいというわけでもなく、常温で保管したほうが良い薬もあるので良く説明書を読みましょう。

 眼科で出される目薬や軟膏の有効期限は一般に1〜2ヶ月です。

 古い薬は効力が落ち、不潔でもあるので使用は避けてください。



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